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「学校の中に甲子園ある」小山台エースが貫いた文武両道

(29日、高校野球東東京大会決勝 二松学舎大付6―3小山台)


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夏の甲子園初出場へあと一歩届かなかった都立高の小山台。エースの戸谷直大(3年)は「苦しい試合もあったけど、楽しい大会にできた。都立でもここまでやれることを見せられた」とすがすがしい表情だった。


準決勝で強豪の帝京を2点に抑えた右腕戸谷だったが、決勝は要所でのミスが響いた。1点リードの五回2死満塁、変化球で空振り三振に仕留めたが、暴投となって振り逃げで同点。「振り逃げは仕方ない」と気持ちを切り替えたが、続く打者に内野安打と打たれ、嫌な形で勝ち越し点を許した。七回にも2失点し、試合の流れを変えられなかった。


戸谷は2014年の選抜大会に出場した小山台を見て、「文武両道」を目指して入学した。球速120キロ台だった直球は138キロまで伸びた。「ずっと磨いてきた」という外角の直球が今大会の支えになった。6試合に登板し、ほかの投手に3分の2回を譲っただけで残りの49回と3分の1を投げた。福嶋正信監督は戸谷の努力を認める。「(選抜出場したときのエースの)中大の伊藤(優輔)君のアドバイスもあって戸谷は伸びた。成績もいいし、学校外の生活も立派。日誌を見ればわかるが模範生」と言った。


福嶋監督の教えは「生活が一番、学業が二番、三番に甲子園に行こう」。甲子園に出るために何が必要かと尋ねられた福嶋監督は「それは分からない。与えられた時間と環境の中で甲子園を目指すというのが本当の高校野球だと思う。甲子園に行くんじゃなくて、学校の中に甲子園があって、それを目指していって結果的に甲子園がやってくるんじゃないかと考えている」と語った。


戸谷は国公立大の理系を志望しており、これから受験勉強に取り組む。「まだ、将来の目標は決まっていませんが動作解析など面白そうですよね」。次のステージへ、胸を膨らませていた。(坂名信行)


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