第100回全国高校野球選手権記念大会(朝日新聞社、日本高野連主催)に出場する三重代表、白山の甲子園見学が31日午後、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であった。同日午前には、津市の同高で壮行会も開かれ、在校生や地元住民から激励を受けた。
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記念大会となる今回は、例年よりも多い56チームが参加する。日程の関係などで、甲子園練習の代わりにボールなどを使わない見学が設けられた。
三重大会からの疲れがたまっていたのか、行きのバスの中ではほとんどの選手が眠る中、伝令のパルマ・ハーヴィー選手(2年)は、喜びを隠しきれない様子で「ずっと憧れていた場所に今日行って立てる。最高です」。
甲子園球場に到着すると、グラウンドでは東兵庫代表の報徳学園や西兵庫代表の明石商などが見学中だった。三塁側スタンドからその様子を眺めた白山の選手らは「やっぱり体大きいな」「あのピッチャー背が高い」と他校の迫力に驚きを隠せない様子だった。この日は一般の観客の姿はなかったが、辻宏樹主将(3年)は「三重の球場と比べものにならないくらいきれい。これだけの観客席が埋まったらどうなるのか……」。
小学生のころに野球をしていた川本牧子部長(40)は、甲子園に立つことをずっと夢見てきた。「顧問としてなら女性でも甲子園の土を踏めるかもしれない」と選手らに伝えると、「僕たちが先生を甲子園に連れて行きます」。言葉が現実となり、川本部長は「やっと来られた。甲子園のベンチってすごく低いんですね」と満面の笑みを見せた。
グラウンドに入った選手らは守備位置の確認をしたり、打席でバットを振ったりして夢の舞台の感触を確かめた。
中堅手の市川京太郎選手(3年)は、外野で東拓司監督(40)から声をかけられた。「『観客が白い服を着ていたらボールがかぶって見えづらくなる』と言われた。風も思ったより吹いているし、守備には気をつけたい」と話した。三重大会の菰野戦で本塁打を放った伊藤尚選手(3年)は「外野から見ると広かったけど、打席に立ったらいつもと同じ。ホームランを打つイメージが出来ました」。
東監督は「いよいよという感じがする。選手たちがプレーのイメージを膨らませてくれたら。まずは1勝です」と語った。(甲斐江里子)
甲子園で「一緒に校歌を」 住民も集まり壮行会
津市の白山高校体育館では、在校生約300人や地元住民約50人が集まって壮行会が開かれ、甲子園に出発する同校の野球部員を激励した。壇上には東拓司監督の大学時代のチームメートの上原浩治選手(巨人)から贈られた鉢植えが置かれた。
野球部員は体育館に入ると大きな拍手で迎えられた。赤塚久生校長は「甲子園の景色や雰囲気を感じて、白山らしく粘り強く戦ってほしい」とエールを送った。
辻宏樹主将(3年)は「白山は、どこの高校よりも地元の方たちに愛されている。甲子園でも、白山旋風を巻き起こせるように頑張ります。一緒に校歌を歌いましょう」と語りかけた。東監督は「白山高校の誇りを持って、精いっぱい戦っていきたい」と意気込みを語った。