鹿児島実との初戦が決まった抽選会から一夜明けた3日、金足農(秋田)の選手たちは午前から練習を始めた。関西は連日、気温が30度を超す猛暑。同行するマネジャーは、選手たちの体調管理に余念が無い。
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出発前日の7月29日。自校のグラウンドで練習を終えた選手たちが集まった。
「甲子園でもサポートをお願いします」。佐々木大夢主将(3年)と吉田輝星投手(同)が、マネジャーの金子桃華さんと高橋桃佳さん(ともに3年)の首に、春の県大会と夏の秋田大会の二つの金メダルをかけた。
日頃の感謝の気持ちがこもったサプライズに、金子さんは「泣きそうになった」。高橋さんは「今まで以上に頑張らないと」と笑顔をみせた。
金子さんは、野球部の主将だった兄の応援に行った時などにマネジャーの仕事ぶりを見て、憧れて入部した。高橋さんは「大変だけど、やりがいがありそう」と思って入部した。
下の名前の読みがたまたま同じこともあり、仲の良い2人。金子さんは高橋さんを「もっち」、高橋さんは「金子ちゃん」と呼ぶ。「コーチに『ももか』と呼ばれると、同時に振り向くこともあります」と2人で笑う。
洗濯、掃除、おにぎりづくり……。マネジャーの仕事は多い。遠征時は午前4時半に集合し、合宿時の洗濯は夜中までかかることもある。それでも「選手は厳しい練習をしている。こっちも負けられない」と金子さんは言う。
汗をかく選手用の麦茶には塩を入れ、時には手製の「蜂蜜レモン」を振る舞う。関西入り後は飲み物のこまめな補給を意識し、冷やしタオルを準備するなど熱中症対策も万全だ。
そんな2人を、唯一の後輩マネジャーの藤田彩愛(さえ)さん(2年)は「常に周りを見ていて、いち早く(必要なことに)気付く」と慕う。菊地亮太捕手(3年)は「自分たちのプレーを発揮するために、欠かせない存在」と感謝する。
8日の初戦の相手は、全国に名を知られる強豪だ。高橋さんは「普段通りにプレーできるようサポートしたい」。金子さんは「選手が自信を持ち、自分たちの野球だけを考えられるように支えたい」と意気込んでいる。(神野勇人)