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74歳・阪口監督、執念のシートノック 選手高ぶらせる

(8日、高校野球)


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「鬼の執念」と言っていいだろう。


74歳の大垣日大・阪口慶三監督が、1回戦の東海大星翔戦で試合前のシートノックを打った。「コーチが11年ぶりと言っていた」というから、愛知・東邦から大垣日大に移って、春夏連続して甲子園に初出場した2007年以来になる。


11年に脊椎(せきつい)管狭窄(きょうさく)症を患い、手術をした。今も「左手は(服の)ボタンを外せないぐらい指が悪い」という。それでも「もう一度ノックをしたい」という一念からリハビリに励んできた。昨年から練習で投手ノックを打てるようになり、今年は内野ノックと段階を踏んできた。


前日の練習でも、「3年生と過ごすのも残りわずかだから」とノックバットを持った。


11年ぶりのシートノックを決断したのは当日になってから。「痛いと動かせないが、天気がカラッとしていると動くんでね」


「さあ、いこう」と両手を挙げ、74歳のノックは始まった。内野だけだが、選手の状態を確かめるように丁寧に、しかし、テンポ良く、きれいなゴロを打ち続けた。ショートを守る安藤雅哉主将は「ビックリしました。みんな気持ちが高ぶり、それが勝利にもつながったと思います」。


「子供たちが甲子園に連れてきてくれたんで、74歳の感謝の気持ちで打った」と阪口監督は胸中を説明した。「100回大会だぜって左手に言ったら、動くようになったんでね」


東邦時代の「鬼の阪口」から、「仏の阪口」にイメージチェンジしたと言われる老将。どちらにしても、すごい執念である。(編集委員・安藤嘉浩)


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