西愛知代表の愛工大名電は16日の第1試合で、報徳学園(東兵庫)に2―7で敗れた。3番打者の柳本優飛君(3年)の妹、詩杏(しあん)さんは近大付(南大阪)の1年生マネジャー。アルプス席に駆けつけた妹の応援を力に奮闘した。
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六回1死、柳本君が右前安打を放った。4安打した初戦に続き、この試合でも安打を記録。「大阪を離れて、成長した姿を見せられた。悔いはないです」
柳本君は大阪府松原市出身。甲子園をめざし、名電野球部の門をたたいた。卓越した打撃センスから「イチロー2世」と呼ばれ、1年夏からレギュラー入りした。ただ、詩杏さんはこの2年間、部活動や受験勉強で多忙だったため、愛知県まで試合を見に行くことができずにいた。名電も甲子園出場を逃し、兄の活躍はインターネットなどで確認するしかなかった。
今春、詩杏さんは近大付に入学し、野球部のマネジャーに。「2校とも甲子園に出れば、両方を応援できる」と夢を膨らませた。
西愛知大会中、柳本君は詩杏さんお手製のお守りをもらった。「色は僕の好きな青。覚えていてくれた。マネジャーになって、こういうこともやっているんだな」。気持ちが高まった。
今大会、近大付は10年ぶり、名電は5年ぶりに甲子園出場を決めた。「やっと応援に行ける」と詩杏さんは喜んだ。
近大付は初戦で敗退。新チームの練習はすぐに始まったが、藤本博国監督の配慮で、詩杏さんは名電の初戦とこの日の試合、応援に来ることができた。アルプス席から声を張り上げた。「近大付のぶんまで戦ってくれているようでうれしかった。ここで応援できて本当に良かった」と詩杏さん。
この日が18歳の誕生日という柳本君。一回の打席にはアルプス席から吹奏楽によるバースデーソングが流れた。「球場全体の拍手も、妹の応援もうれしかった。甲子園は最高の場所でした」(竹井周平、坂東慎一郎)