(6日、高校野球愛知大会 豊田南5―4旭野)
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4点を追う九回。旭野は2死と追い詰められた。ここから3年生が適時打を次々放ち、怒濤(どとう)の反撃が始まった。
「直球に自然と身体が動いた」。8番打者の山内佑真君の打球は右翼へ、まず1点。続く主将の水野晴貴君は「監督からのアドバイスを覚えていないほど緊張していた」が、ファウルで粘って中前安打でつなぐ。
「いける、いける」。スタンドは大歓声。1番打者の松波壮亮君は「声援が無音になって、ボールがスローモーションに見えた」と、右越え三塁打を放ち一気に1点差。四球を挟んで今村亮哉君は「絶対に打たないと」。無我夢中で右前適時打。敗色濃厚な状況から、ものの5分で試合を振り出しに戻した。
元々、同級生の部員は倍以上いた。しかし昨秋までに続々と辞めた。3年の部員らは「残ったメンバーだからこそ他にはない団結力がある。力を合わせよう」とまとまった。
しかし、延長に入ると9回の劇的な同点劇とは裏腹に、失策がらみであっけなく勝負が決まった。試合後、水野君は「土壇場で追いつき、ベンチもスタンドも、みんながこの試合は勝てると思った。その気の緩みこそが敗因」と号泣した。(藤田大道)