(18日、高校野球 金足農3―2近江)
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九回2死、最後の打者は全力で三振を狙った。金足農のエース、吉田輝星が言う。「裏に逆転できるよう、自分が流れを作りたいと。コースはどこでもいいから、思いっきり投げた」。内角低めに141キロのを決めて、空振り三振。追いかける点差は1点。満身の力を込めた直球で、逆転サヨナラ勝ちへの空気を作り出した。
実は、試合直前までマウンドに上がれるかどうかの瀬戸際だったという。「朝起きた時、股関節が痛くて。本気で先発は辞退しようかと思った」。マッサージを施したところ、痛みは軽減。甲子園到着後の室内練習場で、中泉監督には「お前の野球人生はここで終わりじゃないぞ」と言われたが、「やりたいんじゃなくて、やれます」と志願した。
「疲れはない」と言いながら、ここまで3戦連続で完投し、計475球を投じている。その影響か、「球は走らなかった」。だが、そこで別の引き出しがあるのが、吉田だ。「球速よりも、切れを意識した」という投球で地方大会で打率4割超を誇った強打の近江から10三振を奪ってみせた。
「球速は130キロ後半でも、140キロ以上の伸びがあった。すごいと思った」と捕手の菊地亮太。4戦連続となる2桁奪三振に、「甲子園に来てから一番良い投球」と振り返った。
金足農の準決勝進出は34年ぶり、2度目。「先輩たちを超えたい?」という報道陣の質問に、吉田はきっぱりと言い切った。「超えたい、ではなくて、超えます」(吉永岳央)