史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭が、この夏一番苦しんだ試合は……。それは北大阪大会準決勝の履正社戦だろう。3―4と1点をリードされ、九回も2死走者なしまで追い詰められた。
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そこから大阪桐蔭は、2番宮崎、3番中川、4番藤原、5番根尾が粘って連続四球を選んで同点に。続く山田が決勝の2点適時打を放った。21日、金足農との決勝後、主将の中川が言った。「甲子園に行くためには履正社は避けて通れない相手。最高の試合ができて、勝てて、そこからチームにぐんぐん勢いがつきました」
その試合で履正社の捕手を務めていた野口は、敗戦の翌日の練習で新チームの主将になった。岡田監督から「できるか?」と聞かれ、「できます。最後までやり切ります」と答えた。
20日、大阪桐蔭が済美との準決勝を戦っていた同じ時間、履正社のメンバーは、茨木市のグラウンドで日本航空(山梨)と練習試合をしていた。
大阪桐蔭が済美に勝ったことを野口に告げると「そうなんですか」と意外にそっけなかった。練習に次ぐ練習で甲子園になかなか関心が向かないのも当然。「キャプテンとして他のチームより自分のチームの状況を考えたい」。ただ、しのぎを削った大阪桐蔭には「決勝でも負けて欲しくない」と言った。
今夏の大阪桐蔭との九回の場面を聞いた。「一つ目の四球を出した時に、いい間をとれれば、あんなに四球が連続することはなかったと思う」「もっと打撃で助けられたのではないか。守備でももっと、と自宅に帰って反省しました」。しかし、翌朝9時には新チームがスタートする。無理やり気持ちを切り替えた。
新チームは1年生30人、2年生26人で例年より多いという。「今夏以上に打倒桐蔭の意識を強くもっています」。大阪桐蔭の優勝メンバーのうち2年生の宮本、中野は中学時代に関西選抜でいっしょに戦った仲間だ。「彼らは甲子園に出たが僕はまだ出たことがない。勝って、彼ら以上の結果を残したい」
「この夏、大阪桐蔭を一番苦しめたチームになりそうだね」と水を向けた。「それもそうなんですけれど、桐蔭が春夏連覇をしたら、もう一度挑んで勝てるようにしたい」と先を見据えた。
決勝の時間、履正社は八王子(西東京)との練習試合を戦った。(堀川貴弘)