100回の歴史は先輩から後輩へ受け継がれる思いが何層にも積み重なってできている。
夏の連覇を目指した花咲徳栄(北埼玉)は2回戦で横浜(南神奈川)に敗れた。最後の打者は1年生の井上朋也だった。1回戦の八回に逆転二塁打を放った救世主は2点差に詰め寄り、さらに2死満塁の場面でフルカウントから低めのボール球を振って三振に終わった。井上はエースで4番の野村佑希を「一緒に打ちましょうよ」と自主練習に誘う。野村からは「かわいい後輩」と親しまれている存在だった。試合後の井上は泣きじゃくった。「後悔しかない。1年生ですけど自分が新チームを引っ張ります」とむき出しの気持ちを言葉に乗せていた。
糧となるつらい経験を1年生でできたことは、とても貴重だと思う。高校生活はあと2年。どんなバッターに成長していくのか楽しみだ。(坂名信行)