高潮は、台風や発達した低気圧が通過する際に、潮位が大きく上昇する現象だ。台風などの中心に近い場所では、低い気圧が海水を吸い上げるように働き、海面を上昇させる。また、沖から岸に向けて吹く強風によって海水が吹き寄せられ、海岸近くの海面はさらに上昇する。
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非常に強い勢力の台風21号は、早いスピードで北上したため、岸に吹き付ける風も強くなり、高潮の被害を各地で招いた。
京都大防災研究所の森信人准教授(沿岸災害学)によると、風は台風の東側で特に強くなる。このため、台風の進路の東側に位置した和歌山県から大阪府にかけての広い範囲の沿岸で高い潮位となった。
満潮・干潮のタイミングも、高潮に影響する。3メートルを超える潮位を記録した和歌山県御坊市の場合、4日午後1時26分が満潮の時刻で、台風の接近と重なったことで記録的な高潮になったとみられる。
コンテナ流出、過去にも
高潮によって船や港湾のコンテナが流された事例は過去にもある。
国土技術政策総合研究所の津波・高潮災害研究官、熊谷兼太郎さん(海岸工学)によると、2009年の台風18号では、愛知県の三河港に積んであった多数のコンテナが高潮で流された。
船が流された場合、大型であるほど橋などの構造物を壊す力が大きくなる。積んである重油などが流出すると、海が汚染されることも考えられる。
熊谷さんは「過去最大クラスの高潮では、想定されていない大きな力が働くため、係留していた船も流出する可能性がある」と指摘する。波風が比較的穏やかな場所を選んで船を係留するなどの対策が求められる。また、コンテナにはワイヤをかけた上で、できる限り内陸側に置くなどの工夫が必要という。