活発化した梅雨前線が停滞して記録的な大雨に見舞われた九州南部について、気象庁は4日、今週末に再び雨が予想されるなどとして、土砂災害に対する警戒を引き続き呼びかけている。鹿児島県では、住宅が土砂崩れに巻き込まれ、住民の女性1人が死亡した。
気象庁によると、6月28日の降り始めから4日午後5時までの総雨量は、宮崎県えびの市末永で1089・5ミリ、鹿児島県鹿屋(かのや)市下高隈町で901ミリに達した。
また、鹿児島県内に気象庁が設けた観測所のうち、少なくとも6地点は今月3日の一日だけで平年の7月1カ月分を超える雨が降った。鹿屋市下高隈町で460ミリ(平年の7月1カ月分の雨量は422・8ミリ)、曽於(そお)市大隅町で421ミリ(同328・8ミリ)などを観測。いずれも一日の雨量の記録も更新した。
曽於市大隅町では4日、住宅1棟が土砂崩れに巻き込まれているのが見つかった。市によると、倒壊した住宅から住人の山下マチエさん(85)が発見され、死亡が確認された。同県では1日にも鹿児島市で土砂崩れで女性が1人死亡している。
鹿児島、熊本、宮崎の3県によると、がけ崩れなどの土砂災害は3県で少なくとも38カ所確認された。
気象庁は、九州に大雨特別警報を出す可能性があるとしていたが、「当面は恐れがなくなった」と説明。熊本、宮崎、鹿児島の3県で出されていた警戒レベル4にあたる避難指示(緊急)は、4日午後7時までに鹿児島市の一部を除いて解除された。
ただ、気象庁は、梅雨前線の活動の程度によって、九州南部は6日ごろから再び雨になる恐れがあると予報。長雨ですでに地盤が緩んでいることも踏まえ、引き続き土砂災害に対する警戒を求めている。