非常に強い台風21号は4日、大雨や暴風、記録的な高潮をもたらし、各地で被害が相次いだ。警察庁によると、大阪府と滋賀、三重両県で計9人が死亡。関西空港では高潮により冠水したうえ、タンカーが関空連絡橋に衝突するなどし、復旧の見通しはたっていない。
台風接近どうする? 備え確認し、早めに避難を
水害への備えは? 台風に襲われたら、街で身を守る
警察庁などによると、大阪府で7人、滋賀県で1人、三重県で1人の計9人が死亡。堺市堺区の70代男性や三重県四日市市の男性(70)は、屋根を修理しようとして転落死したとみられる。大阪府豊中市の集合住宅2階のベランダで倒れているのが見つかり、死亡した高齢男性も上階から転落した可能性があるという。滋賀県東近江市では倉庫が倒壊、社長の男性(71)が下敷きとなって死亡した。
朝日新聞の午後10時時点のまとめでは、大阪や岐阜、京都など13府県で計229人が負傷。住宅被害は11府県で全壊1棟、半壊1棟、一部損壊236棟、床上浸水2棟、床下浸水1棟に上った。避難勧告は石川や大阪など13府県で一時計約203万5千人に出され、避難指示は兵庫県など5府県で計約4万9千人。
記録的な高潮は近畿の沿岸を襲い、兵庫県芦屋市の南芦屋浜地区や和歌山市雑賀崎の工業団地で浸水被害が発生。大阪海上保安監部などによると、大阪湾内に係留中だった数十隻の台船が漂流した。神戸市東灘区の六甲アイランド南側ではコンテナが多数流失し、兵庫県西宮市の西宮マリーナでは、係留中のヨットが桟橋ごと流された。
寺社や観光地の被害も相次ぎ、奈良市の春日大社では国重要文化財の建物の屋根に木が倒れかかり、一部が破損。京都市では世界遺産・下鴨神社境内の糺(ただす)の森で、数十本の木が倒れた。嵐山では、渡月橋の東側の欄干が約100メートルにわたって倒れた。
大規模な停電も起き、関西電力によると、午後11時時点で大阪や京都、兵庫など8府県で延べ約204万3千戸に及んだ。
台風による被害に備え、JR西日本や私鉄の一部は予告運休を実施。空の便も乱れ、午後8時半までに、日本航空は国内線と国際線計325便、全日空は計334便が欠航した。交通の混乱は、一部で5日も続く見通し。