各地は容赦ない強風に襲われた。
台風接近どうする? 備え確認し、早めに避難を
水害への備えは? 台風に襲われたら、街で身を守る
滋賀県東近江市の電子部品製造会社内で倉庫が倒壊し、同社社長(71)が死亡した現場では、屋根が落ちて数台の車が下敷きになっていた。現場に駆けつけた社長の知人男性は「まさかこんなことになるなんて……」と驚いた様子だった。
JR京都駅(京都市下京区)では4日午後2時20分ごろ、中央改札口付近で駅ビルの天井ガラスが割れて落下。京都府警によると男女3人がけがをした。世界遺産・下鴨神社(京都市左京区)の境内にある糺(ただす)の森では樹木が倒れた。神社職員によると、少なくとも数十本に上るという。京都・嵐山の観光名所、渡月橋(京都市右京区)では、東側の欄干が約100メートルにわたって歩道側に倒れた。
春日大社や東大寺など奈良市の寺社でも、国重要文化財の一部が破損するなどの被害が相次いだ。
大阪市では4日午後から風雨が強まり、住之江区の大阪府咲洲(さきしま)庁舎付近に駐車していた車20台以上が強風で横転するなど、各地で車が吹き飛ばされた。府警曽根崎署(同市北区)など建物の窓ガラスが割れたり、同市西区のビル解体現場の足場が崩れて道路をふさいだりした。大阪市危機管理室によると、強風で落下した看板やガラスに当たるなどした子ども2人を含む男女12人が軽傷を負った。
和歌山市中心部の繁華街にある駐車場では広告の看板が柱ごと倒れ、駐車していた車を直撃した。車は看板の柱で真っ二つになったように大破した。
東海3県でもけが人相次ぐ
台風21号は4日、東海3県の各地に爪痕を残した。三重県では1人が死亡したほか、3県でけが人が相次ぎ、最大で計約67万戸が停電した。交通機関や企業活動にも影響が続いた。
三重県四日市市消防本部などによると、4日午後5時ごろ、同市西坂部町の男性(70)が、台風の影響で壊れた自宅の屋根を修理していたところ、転落した。男性は頭などを強く打ち、死亡が確認された。県警四日市北署によると、強風にあおられたとみられるという。市内では、別の男性(68)も立て看板の下敷きになり、右足大腿(だいたい)骨が折れた。
4日午後3時39分、岐阜市では最大瞬間風速39・3メートルを記録した。同じころ、岐阜県庁10階の事務室の窓ガラス1枚が突然割れ、男性職員(44)が顔や手に切り傷を負った。午後3時すぎ、岐阜市役所の新庁舎建設現場でも工事用フェンス(高さ約3メートル)が約30メートルにわたって倒れたが、けが人はいないとみられる。
消防などによると、愛知県瀬戸市では帰宅中の母親(41)と小学生の男児(10)が風にあおられて転倒し、母親が左手、男児が目にけがをしたという。愛知県豊明市では、女性(93)が転んで左足を骨折した。
三重県伊賀市では90代の女性が、4日午前11時ごろ自宅を出たまま行方不明になった。台風との因果関係は不明だが、伊賀署などが捜索を続けている。
愛知県大口町によると、桜並木で知られる五条川沿いでソメイヨシノが25~30本倒れたほか、計100本ほどで幹や枝が折れるといった被害を受けたとみられるという。
台風の影響で駅に足止めされた人も多い。4日昼前後からJR東海の在来線や近鉄などが運転を見合わせた。東海道新幹線は4日午後2時ごろから運転を見合わせた。