台風21号による高潮で冠水し、連絡橋の損傷で利用客が取り残されていた関西空港では5日深夜、島外への移動を希望した約7800人の輸送を完了した。国の運輸安全委員会は6日、連絡橋に衝突したタンカーの調査を開始。近畿では6日朝も6府県の27万9千戸で停電が続いている。
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関空を運営する関西エアポートによると、利用客らは5日午後11時までに対岸の大阪府泉佐野市に向かうバスと、神戸空港行きの高速船でピストン輸送した。
今後について、大阪府の松井一郎知事は6日、首相官邸で和泉洋人首相補佐官と面会し、関空が全面使用できない間、大阪(伊丹)空港と神戸空港が国際線などで代替機能を担えるよう要請した。和泉氏は「国としては協力する」とし、関係自治体との協議を早期に進めるよう松井氏に求めた。
西日本高速道路(NEXCO西日本)は、緊急車両などに限って片側交互通行している連絡橋の上り車線について、一般車にも開放できるよう準備を進めている。また、タンカーの衝突で数メートルずれた下り車線の橋桁の補修にむけた調査も進めている。橋脚など他に損傷や異常があれば、復旧にさらに時間がかかることになり、担当者は「補修にどれくらいの期間が必要か見通せず、補修計画の策定を急いでいる」と話す。
連絡橋を通るJR線と南海電鉄について、JR西日本は6日朝時点でも「まだ現場に立ち入って破損状況を確認できていない」と説明。両社とも運休期間は「当面の間」としている。
一方、連絡橋に衝突したタンカーは、橋の南約400メートルの海上に停泊中。運輸安全委の調査官3人が6日朝、大阪府岸和田市の岸和田港から船で現場に向かい、タンカーの損傷を調べ、乗組員からも聞き取りをする。1年以内をめどに報告書を作るという。桐井晋司・主管調査官は岸和田港で報道陣の取材に応じ、「原因を究明し、再発防止を含めた報告書を作成し、周知に努めたい」と話した。
関西電力によると、停電の内訳は大阪府18万戸、京都府2万7千戸、兵庫県2万3千戸、奈良県3千戸、滋賀県4千戸、和歌山県4万2千戸。復旧困難な地域などに配備する電源車は、大阪府泉南市の病院など約50カ所に置かれている。関電は7日中の復旧を目指している。