台風24号は西日本各地に爪痕を残した。鳥取県琴浦町では30日夜、2人が乗った軽トラックが農道から転落し、男性1人が死亡、1日朝に1人が救助された。一方、関西空港や京阪神地区の鉄道は1日朝、ほぼ通常の運用に戻り、利用客は安心した表情を見せた。
【タイムライン】台風24号の最新情報まとめ
家電は高いところへ・風呂に水をはる 台風接近時の備え
都市部を襲う風水害 どう備えれば
1日朝、本社ヘリで鳥取県琴浦町倉坂を上空から見ると、台地の斜面が崩れ、上を走る農道が十数メートルにわたってぽっかりと抜け落ちていた。斜面を覆う木々の間に軽トラックが転落しているのが見え、車体の下に勢いよく水が流れていた。
現場ではヘルメット姿の消防隊員らが救助活動にあたり、午前8時すぎ、斜面の下からロープで1人を引き上げて救助した。
琴浦大山署によると、軽トラックは30日午後7時半ごろ、路面が崩落した農道から約50メートル下に転落。軽トラックからさらに約20メートル下で同県倉吉市の会社員野田清孝さん(50)が見つかり、死亡が確認された。1日朝には同県湯梨浜町の会社員戸羽定行さん(63)が救助され、意識はあるという。農道は幅2・7メートル。2人は仕事で現場を通ったとみられる。
和歌山県太地町では、町立くじらの博物館が飼育しているイルカ25頭のうち4頭が死亡した。同館によると、いけすに泥水が流れ込み、前が見えなくなったイルカがパニックになったとみられる。他にけがをしたイルカもいるという。1日は通常通り開館しており、営業に支障はないという。
関西電力によると、台風24号の影響で和歌山や京都など8府県で最大延べ約11万4千軒で停電した。和歌山県那智勝浦町の宿泊施設「休暇村南紀勝浦」は30日午後7時半から1日午前1時まで停電。台風の避難で来た住民ら約20人が宿泊しており、非常用の懐中電灯で過ごしてもらったという。
一方、30日午前11時から2本の滑走路を閉鎖した関西空港は1日午前6時、通常の運用に戻った。特に被害はなかったが、機材のやりくりがつかず、国内線を中心に欠航便も相次いだ。
運営会社の関西エアポートによると、運航再開を待つ約300人がターミナルで一夜を過ごした。格安航空会社スクートのバンコク経由シンガポール行きは、30日夕の出発予定が1日朝まで延期。30日午後から関空で待ち続けた大阪市の会社員藤元千香雄(ちかお)さん(51)と山下佳次さん(37)は「台風だから仕方ない。ただ、寒くてよく眠れなかった」と苦笑していた。
JR西日本は1日朝、おおむね通常通りの運行に。午前8時すぎのJR大阪駅は通勤客らが行き交った。豊中市の会社員、加納幹也さん(58)は「(電車が)思ったより動いている。仕事に影響がなくて良かった」と胸をなでおろした。
大阪府内では1万5665人が自主避難。大阪市西淀川区の福小学校で一夜を明かした家事手伝いの女性(56)は、台風21号で自宅屋根の瓦が飛ばされ、3日間停電したという。避難所ではラジオを聞いて情報収集に努めた。「中にいても風がゴーゴー吹いてすごかった。眠れはしなかった」と振り返った。
日本中央競馬会は、1日に予定していた阪神競馬のレースを2日に順延すると発表した。台風の影響で競走馬の輸送ができないためという。もともと9月30日に予定していたが、台風で2日連続の順延となった。