30日朝から昼にかけて、非常に強い勢力で九州南部に接近した台風24号。各地に猛烈な風雨をもたらした。宮崎県で女性1人が行方不明になり、九州・沖縄・山口の重軽傷者は計68人に上った(30日午後10時時点)。建物被害や停電も相次いだ。
【タイムライン】台風24号の最新情報まとめ
家電は高いところへ・風呂に水をはる 台風接近時の備え
都市部を襲う風水害 どう備えれば
宮崎市高岡町内山では30日午前9時ごろ、近くの農業前田千鳥さん(67)が農業用水路に流されたと、一緒にいた夫が119番通報し、消防と警察が捜している。同町では大淀川系の瓜田(うりた)川や江川があふれ、広範囲で冠水。複数の住宅が浸水した。
鹿児島県奄美市では29日夜、車が強風にあおられて横転し、中にいた男性(55)が太ももを骨折する重傷。県などによると、他に13人がけがをした。
沖縄県では、30日午後6時までに46人が重軽傷を負った。那覇市、うるま市、国頭村では24時間降水量が9月の観測史上最大となった。
港湾施設や鉄道なども被害を受けた。奄美海上保安部によると、鹿児島県奄美市の名瀬港の防波堤にあった高さ11メートルの灯台が、根元からなくなった。
山口県光市のJR山陽線光―下松間では29日夜、線路内に土砂が流入しているのが見つかり、柳井―下松間で不通となった。佐賀県でも30日午後0時45分ごろ、JR唐津線の小城―久保田間で、普通列車がトタンと衝突し、運転席の窓ガラスが割れた。JR九州によると、近くのトタンの建物が風の影響で線路側に傾いていたとみられる。けが人はなかった。
大分市中判田では30日午後3時ごろ、国道10号とJR豊肥線が並行する箇所ののり面が幅約20メートルにわたって崩落。国道10号が計2・5キロにわたって通行止めに、豊肥線は大分―豊後竹田駅間が運転見合わせになった。いずれも復旧の見通しは立っていない。
各地で停電も続いている。九州電力と沖縄電力によると、30日夕方現在、鹿児島県で約17万3千戸、沖縄県で約15万戸、宮崎県で約7万4千戸が停電。解消の見通しは立っていない。