福井県で開かれている第73回国民体育大会の高校野球(硬式)は1日、開幕した。史上初となる2度目の春夏連覇を果たした大阪桐蔭は、1回戦で選手権8強の下関国際(山口)を2―0で下した。
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試合の中心にいたのは、大阪桐蔭の根尾昂(3年)だった。投げては先発で5回無失点。打っては二回、中堅左に特大の先制2ランを放ち、主導権を握った。それでも、根尾の向上心は満足することを許さなかった。「自分のミスでピンチを背負ったし、勢いでいっていたようなピッチングだった」
確かに投手としての立ち上がりは、らしくなかった。一回、先頭打者の打球が一塁手を強襲すると、ベースカバーへの1歩目が遅れた。無死一塁。今度は次打者の投前犠打をファンブルした。「慌てないようにしたんですが……」
こんな悪い流れを自ら断ちきれるのが、根尾だ。無死一、二塁、ギアが上がる。3番木村大輝(2年)に対し、2球目の直球で自己最速に並ぶ150キロを計測。相手は送りバントを試みたが、冷静にさばいて三塁封殺。後続は力でねじ伏せ、無失点に。五回で役目を終えるまで、崩れなかった。
自己採点は「50点」と相変わらず辛い。台風の影響で日程が変更となり、次戦が根尾の高校生活のラストゲームとなった。「次がこのチームでやる最後の試合。そこに向けて、修正したい」。最後の最後まで成長を欲する。これが、根尾昂の強さだ。(小俣勇貴)