8日に閉館した名古屋ボストン美術館の後継施設について、名古屋市は10月下旬に公募を始める方針を15日の市議会経済水道委員会で示した。施設使用料を従来の半分以下に抑え、美術館か博物館の提案を民間から募るという。
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美術館が入る金山駅前の複合ビルは市の所有で、閉館に伴い美術館棟(5424平方メートル)は今年度末に市に返還される。市によると、名古屋ボストン美術館を運営する公益財団法人・名古屋国際芸術文化交流財団(来年3月解散)が市に支払う賃料は年約1億1千万円だが、次の事業者の賃料は最低で年5280万円と想定しているという。
市は7月にも公募を始める予定だったが、民間事業者への聞き取り調査で「賃料1億円ではとても手を挙げられない」などの意見があり、条件の調整に時間を要した。市によると、新たな賃料は周辺のオフィスビルの相場の4分の1以下になる見通しという。
市は10月下旬に公募を始め、12月下旬に募集を締め切る予定。来年1月に事業者を決めて4月に契約し、早ければ夏休みごろに新施設を開業してもらいたい考えだ。事業期間は3~10年と想定し、事業内容や賃料も含めた提案を募る。
名古屋ボストン美術館は1999年に開館し、米ボストン美術館から作品を借りて展示してきたが、入場者の低迷などで経営難に陥り、8日に閉館した。施設は展示専用に設計され、市は別の使い道での利用はできないと判断した。(関謙次)