民家の離れにある車庫の扉を開けると、目に飛び込んできたのは人間の背丈より大きな般若の面、巨大なバナナ、豆の形のマスコット……。そして、床には大きな発泡スチロールの塊が天井に届きそうなほどうずたかく積まれていた。記者が迷い込んだ、あるアートの世界とは。
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ここは、埼玉県川越市のヤジマキミオさん(64)のアトリエ。発泡スチロールを使って、巨大な立体アートを作っている。これまでに100作品以上を制作。なかには、JR川越駅構内に飾られている市の観光スポット「時の鐘」のレプリカや、傷みを防ぐために博物館に預けている市内の神社のこま犬のレプリカなどもある。
ヤジマさんと発泡スチロールとの出会いは約30年前にさかのぼる。東京・浅草のサンバチームに入っていたヤジマさんが、本場ブラジルのカーニバルの映像に影響を受け、「浅草サンバカーニバル」向けにアレゴリア(山車)を作ったことがきっかけだった。
作り方は、仲間とともに一から…