富士フイルムホールディングスによる米事務機器大手ゼロックスの買収計画をめぐり、米ニューヨーク州の上級裁判所は16日、買収手続きの一時差し止めを命じた下級審の決定を撤回した。買収阻止などを求めていた米ゼロックス大株主の訴えを全面的に退け、富士フイルム側が逆転勝訴した。
上級裁は、米ゼロックスが富士フイルムからの買収受け入れを決めた経緯に、重大な問題はなかったと認定した。これにより、富士フイルムと米ゼロックスは経営統合に向けた協議を再開することが法的には可能になる。
ただ、米ゼロックスは、富士フイルムとの経営統合を決めた当時のジェフ・ジェイコブソン最高経営責任者(CEO)らがすでに退任。買収に反対する大株主側が、新たな経営陣を送り込んでいる。実際に買収に向けた協議が始まるのかどうかは不透明だ。
富士フイルムは「主張の正当性が全面的に認められ、差し止め命令の撤廃が決定されたこと、ゼロックス大株主による訴えが退けられたことは正しい判断だ」と判決を評価。そのうえで「ゼロックスと契約の履行に向け話をしていく」として計画通りに統合を進めるよう求める考えだ。(オタワ=江渕崇)