1枚なのに、鏡に映すとそれぞれ形が異なる3種類の立体のように見える不思議な絵――。そんな「錯視アート」を明治大の杉原厚吉特任教授がつくり、国際的な錯覚コンテストで優勝作品に選ばれた。
杉原さんの作品は1分ほどの動画。ブロックを積み重ねたような「立体」が手前に一つあるが、後ろにある2枚の鏡に映った「立体」は、手前のものとは全く異なって見える。
種明かしをすると、立体に見えるのは平らな絵に旗を立てたもの。床に置いた絵を斜めからカメラで撮影することで、様々な立体に見える錯視を生んでいる。実際に両目で見ると錯視は起こらないという。
1枚から複数の見え方ができる錯視の絵は「多義(たぎ)図形」と言われ、向き合った人の横顔にも杯(さかずき)にも見える「ルビンのつぼ」などが知られている。数理工学が専門の杉原さんは、図形をどの角度から見れば錯視の効果が表れるかを数学的に計算し、作品を制作した。
なぜ、脳は勘違いするのか。人…