朝、九州や四国、北海道でとれた魚が空を飛び、夜には都民の口に――。水揚げされた魚を24時間以内に首都圏に届けられる羽田空港内の水産物販売会社「羽田市場」(東京都大田区)が盛況だ。3年前は1日に10件ほどだった配送先が現在は数百件に増え、漁師の懐も潤している。
午前10時20分、羽田空港北側の貨物エリアにある羽田市場の鮮魚センターにトレーラーが到着した。センターのシャッターが上がると、目の前に福岡から旅客機で運ばれたコンテナ。山口や高知、徳島などから届いたコンテナも次々と運び込まれた。
室温15度以下に保たれたセンターは、ひんやりとして魚の匂いが漂う。キュッ、キュッ。発泡スチロールの箱を開け閉めする音が響く。長靴にマスク、キャップを着用した社員ら10人ほどが、サワラやマトウダイなどを注文をもとに詰めていく。全体の2~3割がその日のうちにトラックなどで消費者の元に届く「朝どれ」だ。
午後5時半。世田谷区の「大衆酒場スシスミビ」では会社員、佐々木久美子さん(40)が娘の柚月ちゃん(4)と朝どれ魚の刺し身3点盛りをほおばった。「歯ごたえがあって身が締まってる。カツオも生臭さがない」。佐々木さんは毎回注文しているという。
朝どれを提案したのは羽田市場…