地球温暖化が米国の経済に深刻な被害をもたらすとした米政府の「国家気候評価書」について、トランプ米大統領は26日、「私は信じない」と述べた。「我が国はかつてないほどきれいだ」として、中国と日本を名指しし、他国が対策をしない限り、これ以上の対策は取るつもりはないと強調した。
評価書はエネルギー省など13の政府機関が携わり、4年に1度作られる。感謝祭休暇中の23日に公表され、温暖化に関連するハリケーンや山火事などの被害で、2015年以降だけで4千億ドル(約45兆円)の損失が出たとしている。米メディアによると、評価書は、適切な対策が取られなければ2100年までに米国の国内総生産の最大10%の経済損失が出ると指摘している。
この日、評価書について記者団に問われたトランプ氏は「一部を読んだ。良かった」と述べたが、経済に破壊的な影響があるとの内容について問われると「私は信じない。(報告書は)中国や日本やすべてのアジアの国、そのほかのすべての国にも向くべきだ」と反論。「米国はかつてないほどきれいだ。米国だけがきれいになっても、他国が汚ければ、それは良くない」と持論を展開した。
トランプ氏は17年に、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」について、中国などと比べて、米国の経済に不利だと主張し、離脱を表明した。日本に言及した理由は不明だ。(ワシントン=香取啓介)