昨年10月に開場した豊洲市場(東京都江東区)で15日朝から見学専用デッキの利用が始まり、マグロのセリを間近に見られるようになった。この日のセリ場には約1200本のマグロが並び、事前の抽選で選ばれた69人が、1本あたり数秒で競り落とされる様子に見入った。
以前の築地市場と違い、衛生管理のため、ガラス越しの見学だが、セリ人の威勢のいいかけ声も聞こえてくる。見学は2交代制で15分ずつ。大阪市から6歳の娘と一緒に来た中川亜紀さん(40)は「セリがリズミカルで飽きなかった」と話した。米国から仕事で来たジョー・ジャスティスさん(39)も「豊洲は世界一の魚市場。スケールが違うね」。一方、世田谷区の自営業、岸久美子さん(40)は「ダイナミックだけど、説明がないのが残念」と話した。
築地市場は先着順だったため、未明から観光客の長い列ができたが、豊洲ではインターネットか電話による事前申込制。初日のこの日の倍率は1・03倍で、日本人が約9割を占めた。申し込みのためのサイトは日本語だけで、都は今後、都のホームページに英語の案内を載せるという。セリ場の上の階の通路からは、声は聞こえないが自由に見学できる。(西村奈緒美)