(29日、選抜高校野球 筑陽学園3―2山梨学院)
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山梨学院は1回戦で24安打24得点。調子づかせてはまずい。筑陽学園が五回、1死二塁のピンチで勝負手を打った。左打者に対し、2ボールから左腕の菅井を送る。2球を投げて四球に終わると、すかさず187センチの本格派、西舘を投入した。
次打者は1回戦で2本塁打を打っていて要警戒の3番野村だ。この継投の本当の狙いは、ここで西舘をぶつけることだった。「抑えれば相手は勢いがなくなる」。自分の使命を知る西舘はチェンジアップを駆使し、三振に取った。この回を無失点でしのぎ、打線の奮起を呼んだ。
終盤の反撃に冷や汗をかきつつも逃げきり、継投策は成功。「3年生の3人の投手でつなぐことができた。達成感がある」と、西舘のほおが緩む。「五回がヤマ場。西舘を出した時点で私の仕事は終わりだった」。こう腹をくくっていた江口監督の期待に見事に応え、初出場の九州王者はまた一つ、自信を深めた。(隈部康弘)