高校野球の春季四国地区大会は4日、愛媛・坊っちゃんスタジアムで準決勝があり、明徳義塾(高知1位)の馬淵史郎監督(63)と、馬淵監督のおいで、教え子でもある松山聖陵(愛媛1位)の中本恭平監督(30)の「親戚」かつ「師弟」の対決が実現した。
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松山聖陵は3日にあった1回戦の四国学院大香川西(香川2位)戦で、八回に6点差を逆転して勝利。馬淵監督との対決が実現すると、中本監督は「相手は四国の横綱、こちらは小結」と謙遜しつつ、「僕はうれしいが、向こうは嫌だと思います」とニヤリ。普段は中本監督を「恭平」と呼んでかわいがる馬淵監督も、「勝負事は別じゃ」と不敵な笑みを浮かべていた。
そしてこの日の準決勝は、明徳義塾が五回までに9点を挙げるワンサイドゲームに。馬淵監督は「勝負の厳しさを知ったんじゃないですか」と余裕しゃくしゃく。「(明徳義塾出身なので)明徳の野球を知っているつもりだったんですが」と、中本監督は脱帽した。
4点差で迎えた五回の攻防が象徴的だった。守る松山聖陵は、1死二、三塁のピンチでスクイズを警戒した。だが、明徳義塾が選んだのは強攻策だった。それでも、遊ゴロに打ち取ったものの、裏をかかれて動揺したせいか遊撃手の一塁送球がそれ、一挙2点を失った。この場面について、馬淵監督は「おいっ子にスクイズしたら何を言われるかわからんわ」と冗談めかして振り返った。
ベンチでの2人の様子は対照的だった。身を乗り出して選手に指示を送る中本監督に対し、馬淵監督は「目が悪くてね」と、日差しを避けるために奥に下がって選手を見守った。
貫禄の違いを見せつけるかのように、10―0で六回コールドで勝利をおさめた馬淵監督は、「常にうちは四国でリーダーたれと言っている」と胸を張った。
一方、今春の選抜大会から臨時で監督を代行している中本監督。一時的に采配を振るう間に起きた偶然の巡り合わせに、「不思議な気分だった。すべてにおいてかなわないと感じたこの経験をバネに、また頑張ります」と話した。(高岡佐也子)