中谷元・防衛相は9日午前、那覇市の沖縄県庁で翁長雄志知事と会談した。ともに昨年12月に就任した防衛相と翁長氏が会うのは初めて。防衛相は懸案になっている米軍普天間基地(宜野湾市)の移設について「(名護市)辺野古への移設が唯一の解決策だと確信している」と理解を求めた。翁長氏は「絶対に反対していく」と反発し、平行線をたどった。
中谷防衛相(左)と会談する沖縄県の翁長雄志知事(9日午前、沖縄県庁)=共同
防衛相は中国軍の東シナ海での動向など安全保障環境の現状を説明し「沖縄は戦略的に極めて重要な位置にある」と指摘した。そのうえで「普天間基地を固定化させない。全力をもって安全に留意しつつ、一日も早く返還に向けて移設を進めたい」と述べた。沖縄の基地負担軽減に努める考えも伝えた。
翁長氏は「辺野古への基地建設は不可能だ。途中で頓挫することによって起こる事態はすべて政府の責任だ。中止を決断してほしい」と強調。「普天間基地の5年以内の運用停止は空手形にならないよう対応してもらいたい」と求めた。防衛相の過去の言動に関して「高飛車な発言があった。沖縄に寄り添い、努力したいという政府方針とは程遠い」と批判した。
翁長氏が政府の要人と会うのは、4月5日の菅義偉官房長官、4月17日の安倍晋三首相に続いて3人目。辺野古への移設をめぐり、防衛省は埋め立てに必要な海底ボーリング(掘削)調査を6月末までに終え、夏にも埋め立てに着工する段取りを描く。防衛相は会談後、記者団に、このスケジュールを変えない考えを改めて表明した。