1964年の東京五輪で聖火をともし、戦後復興の象徴にもなった国立競技場(東京)の聖火台が今月27日、東日本大震災の被災地、宮城県石巻市の総合運動公園で再び点灯される。台座の設置遅れや点火断念の危機に見舞われたが、関係者の努力で一転、実現のめどが立った。震災から4年が過ぎた被災地で、輝きを放つ。
聖火台は直径、高さとも約2.1メートル、重さ約2.6トン。地元の経済団体や住民らが震災復興のシンボルとして国に要望し、国立競技場が2020年東京五輪・パラリンピックに向けて建て替えられる期間中、石巻市に貸し出すことが決まった。
公園内の広場に台座をつくり、14年度中に移設する予定だった。重さに耐える地盤かどうか調査するため3カ月ほど作業がずれ込んだ。さらに、点火装置と競技場が一体化した構造で、分離して石巻に運ぶことができないと判明した。
聖火台に火を付けず展示だけにする案も出たが、「被災者の期待を裏切りたくない」として善後策を模索。音楽イベントなどで使用する外付けのバーナーを一時的に利用することで、点灯の実現に加え、予算にも見通しが立った。
聖火台は18日に台座に設置、27日にはオリンピック選手らが点火する式典を開く。誘致委員会の伊藤和男事務局長(68)は「戦後復興を成し遂げて、その象徴となった聖火台が被災地に来たことに意義がある。被災者に元気を与える存在になってほしい」と話した。〔共同〕