辺野古移設をめぐる主な動き
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題で、政府は沖縄県側を相手取り違法確認訴訟などを起こす検討を始めた。国の第三者機関「国地方係争処理委員会」が示した辺野古移設をめぐる審査結果について、沖縄県は提訴を見送る方針を決定。政府は県側に移設を引き延ばす狙いがあるとみて、訴訟を起こして裁判を進める必要があると判断した。
複数の政府関係者が明らかにした。辺野古沿岸部の埋め立て承認を翁長雄志(おながたけし)知事が取り消したことの撤回を求めた石井啓一国土交通相の是正指示について、翁長氏が従わないのは不法行為だとして、地方自治法に基づく違法確認訴訟を起こす方向だ。
沖縄県の代理人は27日、提訴見送りを伝える文書を24日付で安倍晋三首相ら関係閣僚宛てに送ったことを明らかにした。翁長氏はすでに提訴しない方針を表明しているが、改めて県の立場を示したものだ。
係争処理委は今月17日、国交相の是正指示について適正か否かを判断しないことを決定。沖縄県はこれを受け、国交相の是正指示の効力は続くものの、翁長氏の取り消しの効力も継続すると判断した。このまま是正指示を放置しても、翁長氏の埋め立て承認取り消しの効力は影響を受けないとの見解だ。
県は係争処理委が「解決の道」だと指摘した政府と県による「真摯(しんし)な協議」を求める姿勢だが、協議によって両者が歩み寄れるかどうかはなお見通せない。県幹部は「どのみち裁判になることは分かっているが、国に訴えてもらった方がより強権的に見える。こちらは工事が止まっていればいい」と話す。