シートノックでゴロをさばく越谷総合の左利きの三塁手・小林=市営大宮、山口史朗撮影
(11日、高校野球埼玉大会 花咲徳栄11―1越谷総合)
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左投げ用のグラブをつけ、シートノックで軽快にゴロをさばく三塁手がいた。埼玉大会の2回戦で、優勝候補の花咲徳栄に挑んだ越谷総合の小林だ。
「三塁は今年の春ごろから練習していました。捕球から送球まで、右利きに比べて時間がかかるので最初は難しかったです」
試合では三塁に打球が飛ばなかったが、4番としては2安打を放ち、先制の本塁も踏んだ。チームは1―11で敗れたが、「ヒットが打てたのはうれしかった」と話した。
外野手が本職の小林が三塁を守るのは「部員不足」というチーム事情があった。正規の部員は小林を含めて5人だけ。春から校内の野球経験者に協力を呼びかけてきた。助っ人5人が加わり、連合チームではなく単独チームで出場という夢がかなった。
ただ、一塁や三塁など、強烈な打球が飛ぶポジションを助っ人に任せるのは、危険が伴う。「その2つのポジションは正規の部員でなければ。左利きですが、小林に守ってくれと、なりました」と松口監督。
大敗ではあったが、二回に先制点を奪ったのは越谷総合。安打で出塁した小林を本塁にかえす適時三塁打を放ったのは、助っ人の7番打者安田だった。「春から助っ人集めをして、快く来てくれた人には本当に感謝しています」。そう話す小林の目に、うっすらと涙が浮かんだ。
秋以降、3年生が抜けると、正規の野球部員は2年生の小林を含めて3人になる。練習と並行して新入部員や助っ人を募る日々がまた始まる。だが、悲壮感はない。「秋からもできれば単独チームで出たい。そのために、どこでも守れるように、色んなポジションを練習します」。にっこり笑って言った。(山口史朗)