静岡大成―磐田東 八回裏磐田東1死一、二塁、後藤の左前打で二塁走者の荒木が生還。最大12点差をつけられたが、14―14の同点に追いつく=浜松
(17日、高校野球静岡大会 磐田東16―15静岡大成)
動画もニュースもたっぷり!「バーチャル高校野球」
各大会の組み合わせ・ライブ中継予定はこちら
みんなで決める歴代名勝負 甲子園ベストゲーム47
最大12点差からの大逆転――。静岡大会2回戦で、シード校として初戦に臨んだ磐田東が「筋書きのないドラマ」をみせた。
三回、静岡大成の猛攻にあった。7安打を集められ、初戦の緊張感から悪送球や内野ゴロの捕球ミスなども相次ぎ、10失点。捕手の後藤は「何を投げさせても打たれた。つらく長い時間だった」。三回表終了時点で12点差がついた。
ただ、勝ちたい執念は忘れなかった。約30分に及ぶ守備が終わると、ベンチ前で円陣を組んだ。後藤は「大逆転するぞ!」と叫んだ。これまで「気持ちの切り替えができない」と山内監督に注意されることが多かった。大会直前には右手首にひびが入るけが。もらった背番号は「2」ではなくて「10」。悔しさを力に変え、「自分が気持ちで負けないことで恩返ししたい」と誓っていた。
山内監督も「覚悟を決めろ」と選手たちを鼓舞。コールド負けしないために1点を取りに行く。選手たちは開き直っていった。
反撃は三回裏から始まった。1死一塁で4番の後藤が三塁打を放つなど2点を返し、流れが変わる。10点差の四回は無死一塁から犠打で走者を進めて得点につなげた。その後も、毎回のようにしぶとく得点を重ねた。
後藤は八回、ついに同点に追いつく適時打を放った。さらに1点を勝ち越したが、静岡大成も九回に1点を返し、15―15で延長へ突入した。迎えた延長十一回。無死一、二塁から、途中出場の武内がサヨナラ打を放った。
磐田東はベンチ入り20人のうち19人が出場。3時間41分に及ぶ総力戦を大逆転で制し、後藤は「このチームで積み重ねた自信が支えてくれた」と振り返った。目指すのは甲子園だ。=浜松