台風20号は四国から近畿を通り抜け、大雨や暴風による被害をもたらした。総務省消防庁の24日午前7時半時点のまとめでは、兵庫県や滋賀県など7府県で13人が負傷。住宅被害は、和歌山県や福井県など5府県で床上・床下浸水と一部損壊合わせ12棟に上った。避難指示は7府県で約9万3千人、避難勧告は14府県で約94万4千人に出て、17府県で約1万2千人が避難した。
台風情報
大阪管区気象台などによると、近畿などで23日深夜から24日未明にかけて「記録的短時間大雨情報」の発表が相次いだ。1時間雨量は、和歌山県古座川町で120ミリ以上、すさみ町で120ミリ、大阪府能勢町、神戸市東灘区と灘区、兵庫県西宮、芦屋、宝塚、川西の各市で110ミリを観測した。
和歌山県新宮市熊野川町では24日未明、熊野川で水があふれ、広範囲で浸水。住宅3棟が床上浸水の被害に遭ったほか、道路や田畑が冠水した。
暴風による被害も相次いだ。最大瞬間風速は和歌山県の友ケ島で52・3メートル、高知県の室戸岬で45・2メートルを観測。兵庫県西宮市ではマンションの屋根が幅数十メートルにわたってはがれ、落下。同県淡路市では風力発電用の風車1棟が倒壊した。
転倒などによる負傷者が続出。堺市堺区では24日午前0時ごろ、70代の女性が強風にあおられて転倒し、足の骨が折れる重傷を負った。
交通網の乱れは前夜から続き、JR西日本によると、24日の始発から神戸線や北陸線など16路線で運転を見合わせた。私鉄も阪神や南海が始発から一部で運転を見合わせた。
関西電力によると、23日午前7時から24日午前11時までに、近畿2府4県と三重、福井両県でのべ約25万7千戸が停電した。
政府が災害対策本部会議
安倍晋三首相は24日午前、首相官邸で開いた非常災害対策本部会議で、台風20号により13人がけがをし、17府県の約4万4千戸で停電が続いていると発表した。首相は「河川の増水や土砂崩れの発生に警戒を続けてください」と呼びかけた。