大阪湾の沿岸部は高潮による冠水が相次いだ。
台風接近どうする? 備え確認し、早めに避難を
水害への備えは? 台風に襲われたら、街で身を守る
神戸市東灘区深江北町では、住宅や店舗が立ち並ぶ一角が浸水した。「まさか、あふれるとは思わなかった」。2階建ての住宅に40年近く住む横田政治さん(75)は4日午後2時20分ごろ、自宅近くまで迫る水に気づいた。20分も経たないうちに1階部分が浸水し、自家用車も座席が水浸しになったという。「畳も水に浸ったので、これから片付けるのが大変」。鍼灸(しんきゅう)整骨院を経営する30代の男性は「医療機器が水にぬれて、買い替えないといけない。再開のめどは立っていない」と肩を落とした。
大阪市住之江区の大阪南港エリア。アジア太平洋トレードセンター(ATC)に近い埠頭(ふとう)では、高潮でコンテナが散乱した。運輸会社の男性従業員は「事務所の2階から見ていたが、まるで津波のように海水が押し寄せてきた。ここに勤務して10年になるが、こんなのは初めて。後片付けがたいへん」とため息をついた。
和歌山港に面した和歌山市雑賀崎の工業団地も一帯が水につかった。和歌山県によると、最大で1メートル前後まで水につかった場所があるという。団地内で建設作業をしていた男性によると、午後2時すぎにはひざ下まで水かさが増えたといい、「仮設事務所も床上浸水し、扉が強風で飛んでしまった」と話した。
神戸海上保安部によると、兵庫県西宮市の西宮港で、台船(約2900トン)を押していた第拾八久栄(じゅうはちきゅうえい)丸(130トン)が流され、消波ブロックに乗り上げた。乗員は全員無事だった。同市の神戸マリーナでは全長約65メートルの桟橋と係留中のボート約40隻が流出した。
西宮市消防本部によると、同市甲子園浜2丁目では約100台の中古車が炎上した。周辺の道路が海水で冠水して消防車が近づけず、消防隊員がポンプを運び込んで消火にあたったが、強風で作業が難航した。浸水後、車両が燃え始めたという。
大阪海上保安監部によると、大阪港内の各地から、積み荷を載せる台船やコンテナなどが大量に流されているとの通報が相次いだ。台船に乗っていた関係者ら6人が台船と一緒に流されたが、船舶電話などで無事が確認されたという。