(12日、高校野球福岡大会 小倉8―5宗像)
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5―5の同点で迎えた九回裏無死一、二塁。一打サヨナラの好機で小倉の6番吉川晴朝君(2年)に打順が回った。ベンチから聞こえてきた「頼むぞっ」の声に、「ここしかない」と集中力を高めた。
2球目。真ん中に甘く入ったスライダーを振った。手応えは十分だった。「真芯に当たった。いった」
ボールは放物線を描きながら左翼手の頭上を越え、スタンドへ。高校入学後、初のサヨナラ打は、3点本塁打となった。
打撃の評価を上げた吉川君だったが、エースとして預かったマウンドさばきには課題を残した。
「ここぞというところで球を置きにいってしまった」と反省するように、193センチの長身から投げ下ろす思い切りの良さは発揮できなかった。腕を振れず、力ない球を打ち返された。六回に三塁打を含む3連打を浴び2失点、九回には勝ち越し打を許した。
昨夏の北福岡大会で4強に進出した同校だけに、期待は大きい。
吉川君は「ふがいない投球をしてしまった」と、劇的なサヨナラ勝ちを収めながらも、その余韻に浸ることなく、気を引き締め直していた。(布田一樹)