大会3日目の8日、夏の福岡大会は5球場で2回戦10試合があった。101回目に新たな歴史を刻んだ今春創部の福岡大若葉は1年生だけで臨み、初勝利にあと一歩届かなかった。朝倉はシード校の博多工を相手に善戦し、終盤に同点に追いつく見せ場をつくった。昨夏の北福岡代表の折尾愛真は九回に8長短打10得点を挙げ、シード校の九州国際大付は14安打でコールド勝ちした。
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創部初安打は1年生主砲 福岡大若葉・甲木蒼馬選手(1年)
二回表、福岡大若葉の先頭打者は4番の甲木(かつき)蒼馬君(1年)。打席に入る前から狙っていた、ど真ん中にきたカーブをすくい上げるように打った。今春創部したチームの記念すべき初安打は中前へと転がっていった。後続の内野安打で先取点となる本塁を踏むと、ベンチは興奮に沸き返った。
試合前に球場に入ると、相手チームの3年生の体の大きさ、スイングの速さ、そして目力と、すべてに圧倒された。1年生だけの甲木君らが陣取る三塁側ベンチは試合前から萎縮した雰囲気に包まれた。
6月の練習試合では先制されて大敗したこともあり、「今日こそ先に1点を」。そんな思いで打って、走った。生還して戻ったベンチの空気がガラッと明るくなったのが、たまらなくうれしかった。
4月に誕生した新生チームの前途は、決して明るかったわけではない。ルールがわからず困惑し、練習中の私語が絶えないことも……。初采配となった尾崎弘直監督(22)は「下手な試合をしたら相手に申し訳ない」と出場をためらった時期があった。
だが、大会が近づくにつれ、練習に身を入れ、チームが締まった。試合前日はマンションに囲まれる学校のグラウンドを離れ、車で30分の室内練習場を借りて2時間振り込んだ。
八回には無死一、三塁で適時打を放った甲木君。「打線がつながったが、あと1本出ればという場面もあり、もったいなかった」と悔しがった。大会1週間前に届いた真新しいユニホームは、土ですっかり黒く汚れていた。
「あと一押し」は来夏までの宿題だ。(棚橋咲月)