(9日、高校野球福岡大会 福岡講倫館11―7八女)
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その瞬間、選手は雄たけびを上げ、抱き合い、うれし涙が止まらなかった。福岡講倫館は、学校改称前の西福岡時代から遠ざかっていた夏の勝利を26年ぶりにもぎ取った。
1点リードされた七回表。花下功佑君(3年)に打順が回った。ど真ん中の直球を振り抜いて左翼へ。この一打で流れが変わった。立て続けに走者が出て、打者13人で5本の長短打を放ち、相手の守備の乱れも突いて、この回一挙8得点。試合を決めた。
負け続ける歴史を塗り替えたい。昨冬、初めての合宿では、声出しや走り込みといった基本に立ち返った。先輩と後輩がペアとなって宿泊し、部屋にはスマホは持ち込まず、会話を増やした。
学校近くの竹やぶから切り出した長さ約3メートルの竹をバットに見立て、ふらつきながらも1日300回は振った。勝つイメージをつくるために、練習終わりに校歌を歌った。
「歴史を変える」
この目標を何度も口にした。改称した05年当時から同校に勤務する山崎真美部長は「うれし泣きしました」。森山大樹監督は「全員野球で乗り切ることができました」と安堵(あんど)した。(棚橋咲月)