「来年こそはシリーズ制覇を」。6日、大阪・御堂筋で行われた阪神タイガースの優勝パレード。小雨の降る中、詰め掛けたファンは18万人と、2年前の半分以下にとどまった。それでもペナントレースで「常勝球団」を印象づけた阪神の凱旋だけに、沿道は大歓声に包まれた。最前列には、前回と同様、「子ども・障害者ゾーン」が設けられ、約2万5000人が間近でパレードを楽しんだ。
出発地点の大阪市役所前には前夜から席取りをする人の姿も。友人2人と5日夜から待っていたという堺市の会社員、清水俊也さん(25)は「取り合えず『お疲れ様』と言いたくて来た」と声を弾ませた。
午前10時半、府立淀川工業高校吹奏楽部の演奏する「六甲おろし」にのってパレードが始まると、ファンの興奮は最高潮に。「かねもとー」「あかほしー」などと選手の名前を呼びながら懸命に手を振ったり、携帯電話で身を乗り出しながら撮影したりする姿も。選手たちも大きく手を振って声援に応えていた。
難病の進行性筋ジストロフィー症と闘う大阪市淀川区の中学1年、森貴陽(たかのり)さん(13)は両親とともに車椅子でパレードを見守った。雨天だったが「どうしても行きたい」と両親にねだったという。
森さんは幼稚園の時に病気が分かり、小学4年生から車椅子で生活している。リーグ盗塁王に輝いた赤星憲広選手の大ファン。小柄な体で必死に走る姿が、闘病生活を続ける自分に重なるという。「日本シリーズは残念だったけれど、本当に強いなと思った。来年は甲子園に行って選手たちに会いたい」。赤星選手と目が合うと興奮した様子で手を振った。
東淀川区の幼稚園児、沢田萌香ちゃん(6)は「人が多くてびっくりした。赤星(選手)がかっこよかった。来年は甲子園に応援に行きたい。もっと勝ってくれるといいなあ」と目を輝かせていた。【隅俊之、牧野宏美】