国の公害健康被害補償不服審査会は1日、ビル解体作業などでアスベスト(石綿)を吸った父親(2014年死亡)を石綿肺と認定するよう、札幌市の女性が石綿健康被害救済法に基づき求めたのに対し、環境再生保全機構が不認定とした処分を取り消す裁決をしたと発表した。裁決は3月25日付。
裁決によると、父親は1953年から、ボイラーの製造やビルの解体作業などに従事。アスベスト(石綿)を使用した建材などを扱っており、石綿を吸入して著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺にかかった。
機構は「具体的な作業内容が特定できず、肺の内部の石綿小体の計測結果などの客観的資料はない」と退けたが、審査会は「過去の作業従事歴などから大量の石綿暴露が認められる以上、客観的な資料の提出がなくとも暴露を否定できない」と判断した。〔共同〕