被害女性が遺棄された現場近くには、多くの人が献花に訪れた=21日午後4時35分、沖縄県恩納村、吉田拓史撮影
沖縄県うるま市の女性会社員(20)が犠牲になった死体遺棄事件で、21日に同県名護市で執り行われた告別式。参列した親族や友人ら約800人が、最後の別れを惜しんだ。参列者によると、式場に飾られた女性の遺影は成人式の写真。ピンクのドレスを身にまとってほほえむ姿が、悲しみを誘っていた。
特集:元米兵の女性遺棄事件
「お帰りなさい」。遺影に語りかけた友人の女性会社員(28)は、それしか言えなかったという。被害女性が行方不明になった4月末から、仲間たちとうるま市内を捜し回った。横浜市の女性(20)は名護市のファストフード店で一緒にアルバイトした仲。「バイト先のアイドルだった。本当に悔しい。何で彼女が……」と顔を覆った。
告別式には、翁長雄志(おながたけし)知事や中谷元(げん)防衛相ら多くの政治家も訪れた。最後まで参列した名護市の稲嶺進市長は涙を浮かべ、「20年そこそこの人生を一瞬で奪われる不条理を許せない」。米軍属が容疑者として逮捕されたことについては「今回に始まったことではない」と語った。
一方、被害者が遺棄された同県恩納村の県道脇には、多くの人たちが献花に訪れた。
中学の同級生という名護市の男性会社員(20)は「最後にいた場所で最後の別れをしようと思って」。そっと花を置き、両手を合わせた。同じく元同級生という男子大学生(20)は「米軍は『二度としない』と言いながら、事件を繰り返す」と憤った。那覇市の男性(58)は「同じ県民として、少しでも悲しみを共有したい」と語った。
一方、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先とされる名護市辺野古。移設反対派が連日抗議行動を行っている米軍キャンプ・シュワブ前ではこの日午前9時半と午後1時に、参加者が1分間黙禱(もくとう)を捧げた。
参加者らは手作りの黒い喪章を付け、抗議の意思を表明。宜野湾市から来た宮城善光さん(72)は「人生これからの20歳の命を奪うなんて許せない。基地がある限り、事件はなくならないのではないか」と話した。(吉田拓史、鈴木峻)