長崎県西海市で2011年、ストーカー被害を訴えていた女性の母と祖母が殺害された事件で殺人などの罪に問われ、一、二審で死刑判決を受けた筒井郷太被告(31)の上告審で、最高裁第一小法廷(池上政幸裁判長)は20日、検察側と弁護側双方の主張を聞く弁論を開いた。
被告は捜査段階では犯行を認めていたが、13年5~6月の一審・長崎地裁での裁判員裁判から無罪を主張。弁護側は自白調書の任意性などを争ってきた。
この日の弁論で、弁護側は「警察が被告を犯人に仕立て上げるため、不当な取り調べをした」などと述べ、捜査段階で自白を強要されたとして改めて無罪を訴えた。
検察側は「DVDに録画された被告の供述は具体的かつ詳細で、任意性を疑う余地はない」とした上で、「自己中心的な動機による凶悪な犯行で、死刑以外に選択の余地はない」と主張した。判決日は後日指定される。
14年6月の二審・福岡高裁判決によると、筒井被告は千葉県習志野市で同居していた女性が、長崎県西海市の実家に連れ戻されたと思い込み、11年12月、女性の実家で母(当時56)と祖母(当時77)を出刃包丁で複数回刺して殺害した。