金武町立金武小学校6年、仲間里咲さん=沖縄県金武町
沖縄全戦没者追悼式では、金武(きん)町立金武小学校6年の仲間里咲(りさ)さん(11)が自ら書いた詩「平和(ふぃーわ)ぬ世界(しけー)どぅ大切(てーしち)」を発表した。戦争を体験した亡き祖父が願った平和への思いをつづった。県平和祈念資料館が募った「平和の詩」848点の中から最優秀作品に選ばれた。
平和ぬ世界どぅ大切 仲間里咲さんの詩全文
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〈今年も蝉(せみ)の鳴く季節が来た〉〈戦争で帰らぬ人となった人の魂が/蝉にやどりついているのだろうか〉
セミの鳴き声は戦没者の悲しみを訴えていると、本で読んだ。
〈「おじぃは海軍にいたんだよ」〉
1年生のときに一度だけ聞いた祖父の話。派遣されたアジアの戦場で、仲間が銃で撃たれたという。祖父は左腕の古傷をおさえ、目には涙が浮かんでいた。
〈祖父の心の中では/戦争がまだ続いているのか〉
その年の暮れ、91歳で亡くなった祖父はこうも話していた。「今の沖縄が平和で良かったね」
だが頭上を飛ぶオスプレイを見ると、「今はまだ平和な世界ではない」と思う。戦後71年。セミの声に思いを重ね、祖父が使っていたうちなーぐち(沖縄の言葉)で詩を締めくくった。
〈平和を願い鳴き続けている〉〈「平和(ふぃーわ)ぬ世界(しけー)どぅ大切(てーしち)」〉(吉田拓史)