「知る原爆」を手に取材経験などを話す花房吾早子記者=14日、奈良市、筋野健太撮影
広島、長崎への原爆投下から8月で71年になる。戦争や原爆による被害の悲惨さを知り、平和の大切さを学ぶ朝日新聞の別刷り教育特集「知る原爆」。原爆の問題を取材してきた記者が別刷りを手に学校を訪ね、子どもたちと「核兵器のない世界」について考えた。
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特集:核といのちを考える
訪問先は奈良市にある市立登美ケ丘小学校(門城宏隆校長)。花房吾早子(あさこ)記者(32)が14日、約100人の6年生を前に語った。米国のオバマ大統領が現職として初めて被爆地・広島を訪れた5月27日、6年生も修学旅行で広島にいた。
「歴史的な訪問」を肌で感じた経験をしたからか、児童たちの目は真剣そのもの。「みんなと同じような子どもたちが、なんの前触れもなく、一瞬にして、大勢亡くなりました」。花房記者がタブロイド判・計20ページの「知る原爆」を広げ、原爆投下直後に立ち上った「キノコ雲」の下の街や人の状況について語ると、うなずいたり、ノートにメモを取ったりしていた。
「目に見えない放射線の影響への不安を抱えながら暮らしている被爆者がたくさんいます」「長崎での取材で知り合った被爆者は5人のきょうだいを亡くし、3歳の弟を自分で火葬したことを証言するときには、今も涙を流します」。花房記者の経験に触れ、まなざしを向ける児童もいた。
児童からの質問や意見も相次ぎ、出前授業は予定の1時間を超えて白熱。「どんな気持ちで原爆のことを取材し、伝えているのですか?」「なぜ、日本は戦争をやめなかったんだろう」「オバマさんが起こした戦争じゃないのに、どうして謝罪の問題になるの?」……。素朴な質問に、記者や周りの先生が考えさせられる場面もあった。
授業が終わったあと、辰巳昂生(こうせい)さん(12)は「ずっと苦しい気持ちを抱えている人が多いんやな。それを伝えようとしてくれてることも分かりました」。清水咲羽(さわ)さん(11)は「元気そうに見える私のおじいちゃんも、つらい経験があるのかな。戦争の話を聞いてみたい」と話していた。(小河雅臣)
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