任意後見制度の仕組み
認知症などで判断能力が衰えたときに備え、あらかじめ財産を管理してもらう人を契約で選んでおく「任意後見契約」が増えている。公正証書の作成件数は昨年、初めて1万件を超えた。一人や夫婦で暮らし、近くに頼る人がいない高齢者が増加していることが背景にある。ただ、悪用されて財産が狙われる被害もあり、注意が必要だ。
介護とわたしたち
判断能力が十分でない人を支援する成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」がある。法定後見は、判断能力が衰えた後に本人に代わって親族などが家庭裁判所に申し立て、後見人らが選ばれる。判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助に分かれる。最高裁によると、昨年1年間に法定後見が開始された件数は3万2183件。現在の統計方法になった2008年以降で最多となった。
これに対し、任意後見は判断能力が十分にあるうちに、本人が信頼できる人を後見人として選んでおく制度。法律に詳しい元裁判官や元検察官が務める公証人が公正証書を作って契約を結ぶ。親族や友人のほか、社会福祉法人などの団体も可能だ。本人の判断能力が低下し、後見人の候補者らが医師の診断書などをもとに家裁に申し立てて認められると、本人に代わって財産管理できるようになる。家裁が選んだ「任意後見監督人」が後見人をチェックし、著しい問題があれば解任する。
日本公証人連合会(日公連)に…