今年3月、記者会見に臨む国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事=ロイター
フランスの裁判所は19日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が仏財務相だった時代に、旧国営銀行と実業家の紛争にからんで職務怠慢があったとする有罪判決を出した。国庫から実業家への高額の支払いを妨げなかったと判断した。ただ、当時は経済危機対応に追われていたことなどを理由に、刑罰は科さなかった。
ラガルド氏は今年2月にIMFトップに再任され、7月から2期目に入っている。IMFは19日の理事会後の声明で、「ラガルド氏の、職務を継続して遂行する能力への信任を再確認した」とし、これまでと同様にラガルド氏を支持する方針を表明した。
職務怠慢が指摘されたのは、旧国営銀行とサルコジ大統領(当時)に近い実業家との間でなされた損害賠償の調停。仏メディアによると、2008年に実業家が約4億ユーロ(約490億円)を受け取る形で決着した。これについて、閣僚の事件を扱う仏共和国法院はこの日の判決で、ラガルド氏が異議を申し立てなかったのは問題があると結論づけた。
ラガルド氏は「判決には満足していない」としながらも、「控訴はせず、IMFトップとしての職務に集中する」と話した。(パリ=青田秀樹、ワシントン=五十嵐大介)