七回表、広島の大瀬良はビデオ判定で本塁アウトが認められ、ガッツポーズ。右は胸をなで下ろす三塁手安部=上田幸一撮影
(27日、広島1―0巨人)
広島の大瀬良が先発として最後に白星を挙げたのは2015年5月4日。それ以来となる先発での勝利に向けて、最大の試練は七回にやってきた。
リードは1点。先頭を四球で出し、次打者の三ゴロを安部が失策した。犠打で1死二、三塁に。慌てない。代打亀井に対してカットボールで打ち損じを誘い、浅い左飛に。この飛球で三塁走者重信が本塁へ突っ込んだが、左翼手松山が好返球で阻んでくれた。
大瀬良は気持ちの優しい好青年だ。飲食店で居合わせたファンに声をかけられると、ニコニコと笑顔で応じ、一卓ずつに頭を下げて帰っていくような人柄だ。
4年目の25歳。これまでの通算の失点149のうち自責点は119。自責点に含まれない失点とは、主に失策が絡んだもの。それが30あることを、こう自己分析する。「僕は味方にミスがあったイニングでの失点が多い。だから、自責点と失点の差が大きい。ミスを帳消しにしようと空回りしているんだと思う」。失敗を犯した仲間をかばおうという思いが強すぎて、投球が乱れているのだ、と。
安部にミスが出た七回。気負い過ぎない。「その場面場面で冷静になれて、やるべきことをやれた」
熱狂的というより、どこか温かな拍手に包まれて、お立ち台にのぼった。「皆さんの声援を受けて勝つことが出来て本当に幸せです」。飾らぬ言葉で、今季初の、そして先発として2年ぶりの勝利を喜んだ。(竹田竜世)