事件が発生した時刻に黙禱をする朝日新聞の社員たち=3日午後8時15分、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局、水野義則撮影
朝日新聞阪神支局襲撃事件から30年を迎えた3日、広島県呉市の小尻知博記者(当時29)の実家近くにある墓で、朝日新聞社の渡辺雅隆社長(58)らが手を合わせた。兵庫県西宮市の阪神支局では事件の発生時刻の午後8時15分に関係者ら約100人が黙禱(もくとう)した。
タイムライン:記者襲撃、あの夜から
特集:阪神支局襲撃から30年
小尻記者が眠る広島県呉市川尻町の墓では、渡辺社長や後藤尚雄・大阪本社代表(63)らが追悼し、「ジャーナリズムの責務をまっとうする」との決意を新たにした。小尻記者と同じ年に入社した渡辺社長は「小尻記者と犬飼(兵衛)記者に向けられた銃口は、自由にものを言おうとする一人ひとりの市民に向けられたもの。事件を風化させないと強く思うことは、多様な意見や主張を認め合う民主主義の理念を守ることにつながる」と語った。
また、阪神支局3階の襲撃事件資料室では、渡辺社長ら朝日新聞の関係者らが集まり、事件発生時刻に合わせて、1分間黙禱した。