卓球のジャパンオープン荻村杯第4日は17日、東京体育館で男女シングルスの準々決勝があり、世界選手権の同種目で日本勢48年ぶりのメダル(銅)を獲得した17歳の平野美宇(エリートアカデミー)は陳夢(中)に0―4で敗れた。リオデジャネイロ五輪団体銅メダルで16歳の伊藤美誠(スターツ)は、18歳の王曼昱(中)に2―4で競り負けた。男子はリオ五輪個人銅、団体銀の水谷隼(木下グループ)が苦しみながらも準決勝進出。リオ五輪団体銀の丹羽孝希(スヴェンソン)は、世界選手権とリオ五輪を制した馬竜(中)に1―4で敗れた。
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男子ダブルスはリオ五輪団体銀の丹羽、吉村真晴(名古屋ダイハツ)組が決勝で中国ペアに敗れ、準優勝。女子は中国ペアが制した。
女子シングルス準々決勝。日本の次世代を担う高校2年生の「みうみまコンビ」が、ともに中国の若手の壁にぶち当たった。
16歳の伊藤美誠は、18歳の王曼昱に2ゲーム連取からの逆転負け。17歳の平野美宇は、4月のアジア選手権の決勝で快勝した23歳の陳夢にストレートで完敗した。伊藤が泣きはらした目で「本当に実力不足」と言えば、平野も「中国に追いついたと思ったのに、やっぱり強い」と普段の強気な発言は、すっかり消えた。
二人とも弱点を徹底的に突かれた。平野は台の手前への強烈なバックスピンの処理に手を焼いた。得意の高速ラリーに持ち込めず「相手に勝つ場所がなくなった」。伊藤は精度が低いフォア側を狙われた。戦術の切り替えも後手になり、サーブが単調になったところを痛打された。「どんなサーブを出したら良いのか分からなくなった」
世界選手権を終え、日本は中国に次ぐ2番手の地位を固めた。「みうみま」を始め、若手も着実に育っている。だが、それは中国も同じ。特に王曼昱は、世界女王の丁寧に国内で勝つほどの実力者で「本当に、化け物みたいになりそうな選手」と伊藤は言う。
東京五輪まであと3年。「目標は金メダル」と公言する二人は、中国勢に研究されても、その上を行かなければならない。平野は「どこを狙われても崩れない選手になりたい」と前を向いた。(前田大輔)
■エース水谷、苦しみながら4強入り
日本男子のエース水谷は「点数は50~60点」の中、フルゲームのジュースにもつれた接戦を制し、シングルス4強入りを決めた。
準々決勝の相手は李尚洙(韓)。過去3戦全勝だが、約2週間前の世界選手権のこの種目で3位に入り、勢いづく。ゲームカウント2―3で迎えた第6ゲーム、6―7とされてタイムアウトを取った。
ここで、世界選手権の2回戦で13歳の張本に完敗した試合を思い出した。「このままだと張本戦と同じ。積極的に行こう」。タイム明けから5連続得点でゲームを奪取。最終第7ゲームも11―10のマッチポイントで、この日初めてのサーブを繰り出して勝ち切った。
準決勝の相手は中国勢だ。「1本でも多く点を取りたい」。準々決勝の辛勝を、浮上のきっかけにできるかが試される。