大学との共同研究に参加させた見返りに企業から賄賂を受け取ったなどとして、収賄と背任の罪に問われた大阪大大学院工学研究科の元教授、倉本洋被告(57)=懲戒解雇=の判決が11日、大阪地裁であった。飯島健太郎裁判長は懲役3年執行猶予5年、追徴金約1288万円(求刑懲役4年、追徴金同)の有罪判決を言い渡した。
判決によると、倉本被告は2012~16年、耐震工法に関する共同研究に参加させた見返りに、土木・建築分野の4社側から計約1288万円の賄賂を受け取った。また、3社側から共同研究の経費を受け取っていたのに、大学にも研究経費計約1570万円を負担させ、損害を与えた。
判決は「建築耐震工学の第一人者が多額の賄賂を収受したことで、国立大学教授の公正さに対する信頼は大きく損なわれた」と指摘。一方、倉本被告が起訴内容を認め反省の態度を示していることや、研究分野での社会貢献を考慮し、刑の執行を猶予した。