(25日、高校野球西東京大会 東海大菅生5―0日大三)
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「何もできず、流れを持ってこられなかった」。日大三の主将でエース、打順は3番を打つ桜井は淡々とした口調で振り返るしかなかった。「打倒早実」に燃えていた夏、道半ばの準々決勝で東海大菅生と戦い、強力打線は散発のわずか3安打に終わった。
東海大菅生の先発松本は140キロ台の直球にスライダー、フォークを投げる右上手の投手。それに対し、1番井上大、3番桜井、4番金成ら左打者が鍵を握っていた。だが、その3人で放った安打は金成が七回に打った右前安打1本だけ。桜井は「自分が突破口をつくって金成につなげたかったんですが……」と悔しがった。
投手としても桜井はチームを引っ張りきれなかった。「状態は悪くなかった」という。だが一回、安打と四球などで2死一、三塁、中越え2点二塁打を浴び、先行を許した。その後も140キロ後半の直球と鋭く曲がるスライダーで力投したが、抑えきれない。五回は高いバウンドの内野安打で失点し、七回は自分の武器にしてきたスライダーが高めに浮いて中越え適時二塁打を打たれた。八回は二つの暴投で5点目を与えてしまった。
試合後の小倉監督は大きく肩を落としていた。東海大菅生の松本は、打てない投手ではない、と見ていた。だが3安打という現実に、「全然打てなかったですね。負けちゃあいけないと力が入ったのかなあ。そういう雰囲気にさせないのが僕の仕事なんですが……」と力なく語った。
桜井は「最後は腕が上がらなくなるぐらい全力で投げた」と振り返る。「昨秋、清宮から5三振を奪って、自分も成長できた。対戦できなかったのは残念。周囲の期待に応えて一人前。自分はまだまだです」。静かに語る言葉に悔しさをにじませた。=神宮(坂名信行)