メンバー表交換の際に、談笑する大阪桐蔭の中川主将(右)と東海大相模の小松主将。練習試合ならではの光景だ=シティ信金スタ
大阪桐蔭と東海大相模(神奈川)。高校野球の全国トップクラスの2校は毎年、夏の大会を直前に練習試合を行う。今年も7月1日に大阪市のシティ信金スタで2試合を戦い、1試合目は大阪桐蔭が5―3で、2試合目は東海大相模が8―3で勝利し、1勝1敗。公式戦さながらの緊張感に包まれ、選手たちも両監督も、夏へ向けて気持ちを高ぶらせた。
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「一番大切にしている、夏前の練習試合。そこで先発と言われて、うれしさがありました」。大阪桐蔭のエース柿木蓮が言う。すでに今夏の北大阪大会で背番号「1」を背負うことは決まっている。それでも、東海大相模との1試合目に先発させてもらえることが、「エース」の自覚をさらに高めるのだという。
立ち上がりから直球が走る。五回に三者連続三振を奪うなど、13奪三振で3失点完投。勝利の立役者となった。
東海大相模で光ったのは2番に座った主砲の森下翔太。1戦目は柿木から3安打を放つと、2戦目は中越えに特大の本塁打も放った。
選抜では3番に座った右打者だが、門馬敬治監督は2週間ほど前から「2番森下」を試している。「1番の小松(勇輝)と3番の山田(拓也)で森下を挟む」ことで、森下の負担を減らし、よりつながりもよくするのが狙いだ。
そして、4番には1年生の西川僚祐を起用。「思い切りがあるし、雰囲気もある」と期待するルーキーに「大阪桐蔭」を経験させることで、秋以降につなげようという狙いが見えた。
以前から時々練習試合をしていた両校が、この時期に「定期戦」のように戦うようになったのは2014年から。その夏は大阪桐蔭が全国制覇し、翌年は東海大相模が優勝するなど、縁起のいい練習試合でもある。
東海大相模は前日に大阪入りし、甲子園に出場した時と同じホテルに宿泊してこの一戦に臨む。門馬監督は「実際の甲子園で戦う空気に近づけて試合をしたいので。本当は甲子園でやりたいくらいですよ」。
大阪桐蔭の西谷浩一監督も狙いは同じ。「全国トップのチームとやって、今のうちの状況も分かる。1年で一番大事な練習試合です」。2試合目には、やはり1年生で長距離打者として期待する西野力矢を起用。3三振を喫したが、彼にとって得がたい経験となったのは間違いない。
今春の選抜王者の大阪桐蔭と4強の東海大相模。それぞれが収穫と課題と手にし、いずれも「激戦区」と言われる、北大阪大会、北神奈川大会へと向かう。(山口史朗)